3つの大切なこと

ほしのこども学舎では、子どもたちの「①心・②技・③体」を養うことを大切にしています。

① 「心」を養う <「好き」のエネルギー・自由の相互承認の感度 >

「人間には学びたい欲求・自己表現したい欲求・コミュニケーションしたい欲求・物を作りたい欲求などの、本能的欲求がある。しかしこれらの欲求が、学校に入った途端殺されてしまう」
(『学校と社会』ジョン・デューイ)

子どもたちは生まれながらに様々な欲求を持っており、いろいろなことに好奇心を抱きます。

 

そして、その情動のエネルギーを燃やし続けられる対象(好きなこと)を見つけ、周囲にそれを肯定する環境と適切なフォローがあれば、子どもたちは大人に強制されるまでもなく、自発的に学びを深めていきます。

 

ほしのこども学舎には、子どもたちの「好き」を叶える体験がたくさんあります。そして、学びに使用する教材も、子どもたちの「好き」にあったものをカスタムして使用します(カリキュラム参照)。

 

「好き」という感情は、自分の欲求に根ざした「自分軸」のエネルギーです。それは、外部環境の変化に動じない本物の強さを生み出します。

 

「好き」のエネルギーを育んだ子どもたちは、自分の人生を自由に選び、自らの足で生きることができるようになります。

「<自由>に生きるためには、他者の<自由>もまた認めることができなければなりません。したがって公教育は、子どもたちのうちに、この<自由の相互承認>の"感度"もまた、重要な<教養=力能>として育んでいく必要があるのです」
(『教育の力』苫野一徳)

「自由」という言葉を使いましたが、もちろん「自由」とは「わがまま」のことではありません。

 

周囲を顧みない行動は、他者の「自由」を奪うばかりか、他者とぶつかり合うことで自分自身の「自由」をも失う結果となります。それは、当の本人にとっても周囲にとっても不幸なことです。

 

したがって、自分が「自由」に生きるためにも他者の「自由」もまた認め、互いに尊重できるような感性(=自由の相互承認の感度)を育むことが必要となります。

 

ほしのこども学舎では、イエナプランのコンセプトに則り「サークル」という時間を多く設けています。例えば日々の生活の中で自分の「自由」と仲間の「自由」がぶつかりあった時、子どもたちはそれを一方的な感情の発露ではなく、建設的な話し合いによって解決することを学びます。

 

互いの「自由」を認め合える子どもは他者との関係を良好に築くことができるので、成長過程で「世間=味方」であると自然に感じられるようになります。

 

世間を味方と感じる子どもは世間に対し優しいので、世間からの協力や親切をたくさん受けることができます。そして、より一層「世間=味方」と感じられる好循環の中で育ちます。

 

世間に守られているという安心感、そして「好き」のエネルギーを胸に抱いた子どもたちは、臆することなく自分だけの人生を生きるようになります。

② 「技」を養う  < 思考力(視考力)を育む >

・「読める」とは発音できるということ
・「分かる」とは発音からイメージしたものを見ることができるということ
・「考える」とはイメージしたものを頭の中で移動変形させることができるということ
(『子育てと教育の大原則』糸山泰造)

子どもの頃、よくわからないままに用語や文章を丸暗記したり、数式を反射的に解く訓練をさせられた方も多いのではないかと思います。そして、そうした学習に大した意味など無かったのではないかと、多くの人が生活の中で感じているのではないでしょうか。

 

複雑な世の中で起こる問題を、まるでテストを解くように知識の当てはめだけで解決することは困難です。問題解決にあたり、自ら理解し、自ら答えを導く「思考力」が必要なことは誰もが何となく感じてはいるところですが、そもそも「理解」とは、「思考力(考える力)」とはいったい何なのでしょうか。

 

私たちが何かを「分かる(理解している)」と言えるとき、それはその事柄を明確にイメージできている状態を指します。例えば「魚」という言葉を聞けば、多くの人はあの生き物の色やにおい、味や泳ぐ姿などを容易にイメージできます。すなわち「分かる」という状態です。

 

それでは海も川もない内陸で育ち、それまで魚というものを見たことも聞いたこともない人に「魚を料理して」とお願いしたらどうでしょうか。その人は「料理」は理解(イメージ)できても「魚」は理解(イメージ)できません。

 

そこで、その人に「魚」というものを見せてあげます。そうして自由に触ったり、においをかいでもらったり、実際に食べてもらったりします。するとその人は初めて「魚」が何なのか「分かる(イメージできる)」ようになります。

 

その人に改めて「魚を料理して」とお願いします。その人は魚が「分かる」ので、頭の中で魚を切ったり焼いたりすることをあれこれイメージします。このように、イメージしたものを頭の中で移動変形させることを「考える」といいます。


すなわち「思考力(考える力)」とは、主に視覚によるイメージを操作して解を導く能力に他なりません。

 

ほしのこども学舎では「暗記」や「スピード」に偏らず、「思考力」を養成する教材を使用します。例えば算数を学ぶ際、子どもたちは文章題から絵を起こし(=理解し)、その絵を操作する(=考える)ことでじっくり丁寧に解答を導き出します。

 

頭の中のイメージを「視て」理解し、それを移動変形させる力、すなわち「視考力」を養うことが、子どもたちの本物の学力に繋がるものと考えています。

③ 「体」を養う  <  楽しく正しい食事と運動 >

 

健全な食は健全な精神の涵養に繋がると言われます。例えば腸内環境が性格にまで影響を及ぼすという論考は、最近では多くの人が知るところです。

 

精神の負担になるほど食事に神経質になる必要はありませんが、せめて学校のお昼ご飯は心にも体にも優しく美味しいものを食べてもらえたらと考えています。

 

自分が食べるものを、時には食材から自分自身で作ることも学びの一環であると考え、ほしのこども学舎ではお昼ご飯を大人と子どもたちが協力して準備します。

 

健康法や食養法には数え切れないくらいの説がありますが、ほしのこども学舎では以下の指針に基づいて食事を営んでいきたいと考えています。

粗食・菜食中心に
無農薬・減農薬の食材を選ぶ
精製された食品を極力避ける
調理器具も無害で安全なものを
楽しくおしゃべりしながら食べる

また、運動によって健全な体力や体幹を楽しく養うことは、安定した心の成長に繋がります。自然豊かな久山の地で山に登ったり川で遊んだり、子どもたちが自然に心地よく体を動かせる環境を整え、心身の成長をサポートします。